中小企業における女性活躍推進を考える
近年、日本社会において「女性活躍推進」は重要な社会的課題として位置づけられています。少子高齢化による労働力人口の減少や、グローバル競争の激化、多様な価値観の浸透などを背景に、女性がその個性と能力を十分に発揮し、社会のあらゆる分野で活躍できる環境づくりが求められています。
その中でも「人材育成」と「雇用環境の整備」は、女性活躍推進の根幹をなす二大要素として大手企業・中小企業それぞれにおいて取り組まれています。
現在、厚生労働省は『女性活躍推進法』『次世代育成支援対策推進法』における一般事業主行動計画の策定や、『えるぼし認定』『くるみん認定』などの取得を推進していることはご存じの方も多いと思います。
また、各都道府県・自治体でも女性活躍の推進や仕事と家庭の両立支援に関する取り組みが強化されています。
しかし、残念なことに多くの企業において、その取り組みは十分とはいいがたい現状がります。
例えば、厚生労働省が公表している、2025年度の全国の企業における『管理職の総数に対する女性管理職の割合』は
・部長相当職 : 7.9%
・課長相当職:12.0%
・係長相当職:19.5%
です。しかし「2020年代のできるだけ早期に30%にする」という国の目標には大きく届いていません。そして、これは特に中小企業において顕著な傾向として表れています。
実際にわたしがこれまでに接してきた中小企業の経営者や人事担当者の多くは、
女性活躍の取り組みについて、
「(一般事業主行動計画は)義務企業だからやってる」
「公共物件の入札の加点項目だからやってる」
「社長がやれって言うからやってる」
「みんなやってるからやってる」
といった感覚で取り組んでいることが多く、決してポジティブに取り組んでいるとはいいがたいのが現状です。
今回、このホームページにお越しいただいた方には、女性活躍推進こそが人的資本経営の基本であり、中小企業においては、持続可能な成長につながる最もベーシックな取り組みであると認識していただきたいと思っています。
ぜひ、本ホームページをお読みいただき、興味がありましたらお問い合わせください。
※人的資本経営とは、人材を「資本」として捉え、その価値を最大限に引き出すことで、中長期的な企業価値の向上につなげる経営のあり方です。 従来の人にかかる費用を「人件費=コスト」とする考え方から脱却し、人材を企業競争力の源泉として捉え、戦略的に育成・活用することで、持続的な成長を目指すとりくみのことです。
2024年から、上場企業は有価証券報告書にこの人的資本に関する『戦略』『指標』『目標』等の情報開示が義務付けられています。
女性活躍を推進
すると企業はどうなる?
①優秀な人材の確保がしやすくなる
➡労働力人口減少の中で多様な人材を活かすことができる
②職場の活性化がすすむ
➡多様な価値観や発想が加わり組織の活性化がすすむ
③経営の多様化がすすむ
➡多様な視点が経営判断や商品開発に反映されやすくなる
④企業イメージの向上につながる
➡社会的に公正な企業として評価される
⑤生産性が向上する
➡効率的な働き方や業務改善がすすみ生産性が向上する
⑥イノベーションの創出が可能となる
➡新しい視点が増え、商品・サービスの開発が促進される
⑦顧客ニーズの把握力が向上する
➡女性の視点等新たな視点が増え、消費者ニーズを的確に捉えることが可能になる
⑧働きやすい職場環境の整備
➡柔軟な働き方や福利厚生の充実がはかられ、職場環境が良くなる
⑨人手不足が解消する
➡労働市場の裾野が広がり採用力が強化される
⑩カルチャーの改革や多様化がすすむ
➡多様な人材が活躍できる企業風土が醸成される
中小企業における女活の問題点
1.女性社員の採用が進まない
➡ 女性応募者が少ない。女性が選ばない業種である。
2.働き方の柔軟性が不足している
➡ 育児・介護などのライフイベントに対応した制度が整備されていない。
3.女性管理職の登用が進まない
➡ 管理職層に女性がいない。昇進を断られる。
4.両立制度利用時の代替要員の確保ができない
➡ 人員やリソースが限られており、サポート体制が不十分。
5.ジェンダーに対する固定観念や意識の壁がある
➡ 伝統的価値観により、女性活躍を阻害する雰囲気が残っている。
6.女性活躍推進の必要性を感じていない
➡ 経営層や現場で「必要性がない」と認識されているケースが多い。
7.推進体制や担当者が構築できな
➡ 人手がいない。日常業務で手いっぱいになりがち。
8.評価制度・昇進基準が不明確。
➡ 女性の能力や成果が正当に評価されにくい仕組みや、(育児休業・育短勤務等利用時の)昇進要件の不透明さがある。
9.仕事内容や労働時間の制約がある
➡ 女性が希望する仕事内容や労働時間に柔軟に対応できていない。
10.法令順守や目標設定の形骸化
➡ とりあえず目標を立てるといった具合に、行動計画や目標設定が形だけになっている。実効性が乏しい。
問題解決のポイント
1.経営層・管理職の意識改革が最も大切
➡ 女性活躍を推進するにあたり最も大切なのは、経営トップのコミットメントです。女性活躍推進を経営戦略の一部と位置付けて取り組むことで、女性活躍は飛躍的に進みます。
2.働きやすい環境の整備を制度とカルチャー両面で進める
➡ 産前産後休業・育児休業・介護休業・子の看護等休暇・介護休暇といった規則の整備と、制度を利用しやすい環境を創造する必要があります。制度があっても利用できなければ意味がありません。
3.男性社員の理解と協力を得る
➡ 男性の育休取得も推進することで、女性の活躍推進も進みます。2024年の実績では日本の男性育児休業の取得率は3割を超えてきました。しかし、日数等中身を検証してみるとまだまだです。全社員が女性活躍推進の意義を理解し協力できるカルチャーをを醸成しましょう。
4.情報公表と魅力発信はアクティブに
➡ 男女比率、女性管理職比率、残業時間などを積極的に開示します。また、育児休業や短時間勤務といった仕事と家庭の両立に関する情報をアクティブに公表することで、女性にとって働きやすい職場であることをアピールできます。求人・採用の際、こういった情報を積極的に開示することで他社との差別化にもつながります。
5.キャリア形成支援とロールモデルの育成
➡ 女性社員への研修やキャリアパスの提示、ロールモデルとなる女性管理職の育成を進めましょう。特に育児休業取得前後にキャリアカウンセリングを行うことで、継続就業の意欲につなげることができます。また、ロールモデルの育成は、「すごく出世した人」よりも「身近な両立成功者」を育てることが、女性活躍を進めるうえで大きなポイントになります。
6. 両立支援体制の強化
➡ 家庭と仕事の両立を支援する体制や、業務の見直しは外部委託などで負担を軽減することも可能です。
7.PDCAサイクルによる継続的な改善
➡ 現状の課題を可視化し、定期的に女性社員の意見を取り入れて制度や運用を見直しましょう。
8.助成金や公的支援の活用
➡ 両立支援等助成金など、公的制度を積極的に活用して取り組むことをお勧めします。
これらを複合的に考え、短期的な施策と長期的な組織カルチャーの変革を両立させることが、女性活躍推進の成功のカギになることを知っておきましょう。
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